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クラブ2026-08-12

東京ヴェルディの決算 — 売上高・スポンサー収入・営業利益(2025年度)

Pitchonomics 編集部

東京ヴェルディの2025年度のスポンサー収入は13億3100万円で、前年の8億7300万円から52.5%増えた。2026-27シーズンのJ1に所属する20クラブのうち、前年と決算期間の長さが揃う19クラブで、これが最も高い伸び率である。それでも売上高に占める割合は29.5%で、20クラブの19番目にとどまる。

この定点記事は、開示された事実と編集部の見立てを分けて書く。

経営の全体像

東京ヴェルディの決算(単位: 百万円。▲は負の値)
項目2024年度2024-02-01〜2025-01-31・12か月2025年度2025-02-01〜2026-01-31・12か月
収入
売上高3,6834,510
スポンサー収入8731,331
入場料収入726784
物販収入346483
Jリーグ配分金308387
移籍補償金等収入78531
アカデミー関連収入245263
女子チーム関連収入438330
その他収入669401
費用
売上原価2,5403,173
トップチーム人件費9021,279
トップチーム運営経費357394
試合関連経費(ホームゲーム開催費)255272
物販関連費279371
移籍関連費用111164
アカデミー関連経費267281
女子チーム関連経費351395
その他売上原価1917
利益
販売費および一般管理費1,0831,239
営業利益(▲損失)6098
経常利益(▲損失)3445
当期純利益(▲損失)3445

前年からの変化

2024年度から2025年度にかけて、売上高が22.5%増え、同じ期間にスポンサー収入が52.5%増え、入場料収入が8.0%増え、トップチーム人件費が41.8%増え、営業利益が3800万円改善した。

前年からの変化(金額は百万円。収入・費用は率、利益は差分。▲は負の値)
指標2024年度2025年度変化
売上高3,6834,510+22.5%
スポンサー収入8731,331+52.5%
入場料収入726784+8.0%
トップチーム人件費9021,279+41.8%
営業利益(▲損失)6098+38

20クラブの中での位置

東京ヴェルディの売上高は20クラブ中14番目。

指標ごとの位置(金額は百万円。▲は負の値)
指標東京ヴェルディ20クラブの中で
売上高4,51020クラブ中14番目
スポンサー収入1,33120クラブ中18番目
入場料収入78420クラブ中14番目
トップチーム人件費1,27920クラブ中17番目
営業利益(▲損失)9820クラブ中11番目
20クラブの売上高と東京ヴェルディの位置20クラブの売上高を降順に並べた横棒グラフ。軸は0から200億円まで。東京ヴェルディは20クラブ中14番目の位置にある。050100150200浦和レッズ川崎フロンターレガンバ大阪ヴィッセル神戸サンフレッチェ広島鹿島アントラーズ横浜F・マリノスFC東京FC町田ゼルビア名古屋グランパスセレッソ大阪清水エスパルス柏レイソル東京ヴェルディ京都サンガF.C.ジェフユナイテッド千葉アビスパ福岡V・ファーレン長崎ファジアーノ岡山(5か月)水戸ホーリーホック
20クラブの売上高と東京ヴェルディの位置(単位: 億円。軸は0から200億円まで)。 濃い1本が東京ヴェルディである。同じ数字は上の表にある。
売上高に占める内訳の構成比(%)
項目東京ヴェルディ20クラブ合計
スポンサー収入29.5%42.2%
入場料収入17.4%18.5%
物販収入10.7%9.7%
Jリーグ配分金8.6%6.3%
その他33.8%23.3%
東京ヴェルディと20クラブ合計の売上高の構成比東京ヴェルディと20クラブ合計の、売上高に占める内訳の構成比を並べた100%積み上げ横棒グラフ。東京ヴェルディはスポンサー収入29.5%、入場料収入17.4%、物販収入10.7%、Jリーグ配分金8.6%、その他33.8%。東京ヴェルディ20クラブ合計
  • スポンサー収入
  • 入場料収入
  • 物販収入
  • Jリーグ配分金
  • その他
東京ヴェルディと20クラブ合計の売上高の構成比(100%積み上げ。項目の順序は全記事で同じ)。同じ数字は上の表にある。

順位は上の指標の値を降順に並べた結果であり、優劣の評価ではない。「その他」には移籍補償金等収入・アカデミー関連収入・女子チーム関連収入・その他収入が入る。決算期間が20クラブで揃っていない年であり、期間の長さが違うクラブの比率を並べている。

このクラブについて

事実① 伸び率は19クラブで1番目、割合は20クラブで19番目

順位表に載っているのは5つの指標である。東京Vは2025年度、売上高45億1000万円が14番目、スポンサー収入13億3100万円が18番目、入場料収入7億8400万円が14番目、トップチーム人件費12億7900万円が17番目、営業利益9800万円が11番目にある。前年度も売上高15番目・スポンサー収入19番目で、額としては下位に並ぶ。

同じスポンサー収入を別の軸で並べ直すと、位置が変わる。売上高に占める割合は29.5%で20クラブの19番目、前年度の23.7%は20クラブで最も低かった。1年で1つ上がっている。そして前年からの伸び率52.5%は、19クラブで最も高い。次に高いのはアビスパ福岡の50.5%だった。額では18番目、割合では19番目、伸び率では1番目。同じ1つの項目である。

増収は8億2700万円で、19クラブで7番目にあたる(36億8300万円 → 45億1000万円、22.5%増)。これらの増減額と伸び率はリーグが公表している値ではなく、開示された2年度の値から計算したものである。

事実② 増収の8割は2項目、残りの収入は7項目に分かれている

収入8項目のうち、前年から増えたのは6項目である。スポンサー収入が4億5800万円、移籍補償金等収入が4億5300万円、物販収入が1億3700万円、Jリーグ配分金が7900万円、入場料収入が5800万円、アカデミー関連収入が1800万円。減ったのは2項目で、その他収入が2億6800万円、女子チーム関連収入が1億800万円である。増えた額のうち、上位2項目で9億1100万円を占める。

一方、2025年度の売上高の中身を割合で見ると、東京Vは4つの項目で20クラブの上位5番目以内にいる。女子チーム関連収入7.3%が1番目、Jリーグ配分金8.6%が2番目、アカデミー関連収入5.8%が3番目、移籍補償金等収入11.8%が5番目である。女子チーム関連収入の割合で東京Vに次ぐのはサンフレッチェ広島の6.5%、Jリーグ配分金の割合で東京Vより高いのはヴィッセル神戸の10.1%だけだった。

スポンサー収入の割合が20クラブで19番目のクラブが、残る7項目のうち4つで上位5番目以内にいる。売上高の70.5%は、スポンサー収入以外の7項目に分かれている。

費用の側では、売上原価が25億4000万円から31億7300万円へ6億3300万円増えた。トップチーム人件費が3億7700万円、物販関連費が9200万円、女子チーム関連経費が4400万円、移籍関連費用が5300万円の増加である。売上高に占める移籍関連費用の割合3.6%は20クラブで最も低い。東京Vは2024年度・2025年度ともJ1に所属し、決算期間はどちらも12か月(2月1日〜翌1月31日)である。

編集部の見立て — 額の列だけを見ると、このクラブは「小さいクラブ」としか読めない

ここから先は編集部の見立てである。仮説として読んでほしい。

決算一覧は額の列でできている。20クラブを額で並べると、東京Vは売上高14番目、スポンサー収入18番目、人件費17番目で、下位に固まる。額の列だけを読むと、このクラブについて言えることは「小さい」に近づいていく。

同じ表を割合で読み直すと、別の並びが出てくる。女子チーム関連収入とJリーグ配分金とアカデミー関連収入と移籍補償金等収入の4つで、20クラブの上位5番目以内にいる。そして伸び率で読み直すと、スポンサー収入が19クラブの1番目になる。額・割合・伸び率という3つの軸のどれを採るかで、同じクラブが20クラブの端から端まで動く。

したがって編集部の見立ては、東京Vの2025年度について「額の順位」だけを持ち帰るのは、この表の使い方として最も情報を捨てている、というものである。そして、その3つの軸のうち表に載っているのは額だけである。割合も伸び率も、読者が自分で作らなければ出てこない。

提言 — 決算一覧に、収入8項目の構成比の列を

提言は、東京Vにではなくリーグの開示の形に向ける。決算一覧に、収入8項目それぞれが売上高に占める割合の列を置いてほしい。

新しい数字を集める必要はない。8項目も売上高もすでに載っていて、割り算1回で作れる。だが20クラブ×8項目×2年度を全部やる読者はいない。この記事が使った29.5%・7.3%・8.6%・5.8%・11.8%は、そのうちの5つにすぎない。

割合の列が並べば、額の列では下位に固まるクラブが、どの項目で上位にいるのかが同じ表から読める。額の順位は規模を示し、割合の順位は構成を示す。いまの決算一覧は前者だけを持っている。

この提言への反論

反論はある。割合を並べると規模の違いが見えなくなり、売上高が20クラブで最も小さいクラブと最も大きいクラブの1%が、同じ幅で並んでしまう、という反論である。実際、構成比だけを見て20クラブを比べると、額の差は消える。

だからこの提言は、額の列を置き換えろというものではない。いまの額の列を残したうえで、割合の列を併記してほしいというだけである。どちらを先に読むかを決めるのは、開示の仕事ではない。

自分の表にある不利な事実も置いておく。東京Vのスポンサー収入の伸び率52.5%が19クラブで最も高いのは、前年の額が20クラブで19番目に小さかったことの裏返しでもある。分母が小さければ、同じ増加額でも率は大きく出る。伸び率という軸は、額の小さいクラブを上に押し上げる性質を持っている。

比べないこと

「スポンサー収入」に何が入るかは、定義が揃っているかを確かめられないので、リーグの外の数字とは比べていない。この項目に付いている定義は「広告料収入」であり、何を広告料として数えるかまでは示されていない。収入をスポンサーにどこまで依存するかは、リーグごとの放映権の分配とセットで語られる論点で、この記事の見立てに最も効く材料でもある。本媒体の方法はメソドロジーにまとめてある。

契約している企業が何社なのかも、この記事は書いていない。決算一覧に社数の行は無く、金額だけが載っている。

スポンサー収入の伸び率で東京Vに次ぐのはアビスパ福岡であり、女子チーム関連収入が売上高に占める割合で東京Vに次ぐのはサンフレッチェ広島である。同じ物差しで並べた2クラブの記録はそれぞれの記事にあり、20クラブの一覧は親記事にある。

この記事の物差し(要約)

対象は東京ヴェルディの2024年度(決算期間 2024-02-01〜2025-01-31・12か月)・2025年度(決算期間 2025-02-01〜2026-01-31・12か月)。

指標の値は、公益社団法人日本プロサッカーリーグが公表した決算一覧から取っている[1][2]。

次の指標は、上の表の数字を素直に読むと誤る。定義を要約せずそのまま置く。

物販収入
グッズ等の物販収入。代理店に委託販売しているクラブがあり、取扱高総額でのクラブ間比較はできない(資料注記3)
物販関連費
物販に係る原価・費用(注記3は収入側と同じ)
アカデミー関連収入
育成・普及事業の収入。別法人(NPO等)へ移管している場合は含まれない(資料注記2)
アカデミー関連経費
育成・普及事業の費用(注記2は収入側と同じ)
トップチーム人件費
トップチームの選手・監督・コーチ等の人件費。2024年度より移籍関連費用を内数から外出ししており、それ以前の年度と単純比較できない
移籍関連費用
選手獲得に伴う移籍金等。2024年度より人件費から外出し

各項目の定義は、Jリーグの開示資料(クラブ決算一覧・クラブ経営情報開示資料)の項目名と注記に対応させて Pitchonomics が整理したものである。リーグが定義として公表した文そのものではない。

各指標の定義と、20クラブを同じ物差しで並べるにあたっての条件は親記事にまとめてある。18クラブが増収し、営業損失クラブは4から5に増えた — 2026-27シーズンのJ1に所属する20クラブの決算を2年分並べた

出典・脚注
  1. [1]公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 クラブ決算一覧」 · 2026-07-24 · 2026-08-04確認 リンク アーカイブ
  2. [2]公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2024年度 クラブ決算一覧」 · 2025-07-29 · 2026-08-06確認 リンク アーカイブ