メソドロジー
Pitchonomicsの記事とデータがどのように作られているかを説明します。
何を集めているか
Jリーグクラブのスポンサーシップ契約(どの企業が、どのクラブの、どの枠を、いつからいつまで)と、クラブの経営情報を、公開情報から収集し、構造化データベースとして蓄積しています。記事に登場する契約や企業の事実は、すべてこのデータベースの記録に基づいており、各記録には出典と確認日が付いています。
出典の格付け
すべての記録に出典を付け、次の3段階で格付けしています。
- A(当事者公式): クラブまたは企業の公式発表・公式サイト
- B(リーグ・大手報道): リーグの公式情報、大手報道機関の記事
- C(その他): まとめサイト等の二次情報、ユニフォームの目視確認など
Cのみを根拠とする記録は、確定情報として公開しません。実際、二次情報にはスポンサーの表記と契約主体の法人が食い違う例(ブランド名と契約法人の混同など)が存在します。目視確認は、契約の存在の根拠としてではなく、掲出位置の特定材料としてのみ使います。
当事者の公式発表まで確認が取れているかどうかは、記録ごとに区別して管理しています。公式の確認が取れていない記録は、後から一次情報が見つかった時点であらためます。記事や一覧で読者にお見せするのは、出典の名前と、リンクと、こちらが確認した日付です。
いつ時点の話か
契約は始まり、変わり、終わります。当データベースは記録を上書きせず履歴として保持しているため、「あるシーズン時点で誰がスポンサーだったか」を過去に遡って再現できます。データページのシーズン切り替えは、この仕組みで行っています。
カバレッジの限界について
クラブによって情報公開の粒度は大きく異なります。掲出位置別のスポンサー告知を出すクラブがある一方、公表していないクラブもあり、後者については「出典を確保できていない」ことをそのまま記録しています。存在するはずの契約を推測で埋めることはしません。データに欠けがある場合、その欠け自体が「情報公開の現状」を示す観測結果だと考えています。
どこまで数え終えているか
この節は第2版です。 対象を広げるたびに書き直します。現時点で「クラブのスポンサーを全部数え終えた」とは言えません。 どこまで数え終えていて、どこを数えていないかを、以下に分けて書きます。
数え終えた範囲
各クラブの公式パートナー一覧は、掲載順に段が分かれています。このうち掲載順で上から2段までにある枠(20クラブ合わせて40枠)と、掲載順に関わらず上位として扱っているユニフォーム掲出・サプライヤーの枠(16枠)、合わせて56枠については、掲載されている企業ごとに、クラブまたは企業の公式発表まで当たり終えました(2026年8月24日時点。対象は2026年8月20日に固定した集合で、この56枠に載っている掲出は647件です)。20クラブすべてが含まれます。第1版で「次の版で出します」と書いた16枠が、ここに入りました。
「当たり終えた」は「全部の契約が確認できた」という意味ではありません。 当たった結果として公式発表が見つからなかったものも、確定した記録として残しています。「探して見つからなかった」と「まだ探していない」は、区別して記録しています。この56枠に「まだ探していない」枠はありません。
当たった結果の内訳
56枠に載っている掲出647件について、当たった結果は次の3つに分かれます(いずれも2026年8月24日時点の実測です)。
| 当たった結果 | 件数 |
|---|---|
| 公式発表に到達し、契約としてデータに入れた | 260 |
| 公式発表はあるが、当方の規律により入れていない(保留) | 18 |
| 探して見つからなかった | 369 |
| 計(=56枠に載っている掲出の数) | 647 |
3つの意味は違います。「探して見つからなかった」は、その掲出に対応する契約の公式発表そのものに到達できなかったものです。「保留」は、公式発表には到達したのに、当方の側の規律で入れないと決めたものです。前者はクラブや企業が出していないことを、後者は当方が読まないことを意味します。 混ぜると、次に何を取りに行けばよいかが分からなくなるため、分けて数えています。
保留に入る理由は3つです。 ①掲出の位置が当方の区分のどこに当たるか、告知の書き方からは確定できない(たとえば「背中」とだけ書かれていて、背中の上部か裾かが読めない) ②社名が画像の中にしかなく、文字として取り出せない ③契約の主体がどの法人かを同定できない(グループ名や総称で書かれている)。いずれも推測で寄せると、クラブをまたいで比べたときに誤りが混ざります。 そのため、確定できるまで入れません。
この内訳は枠ごとに1行で記録しており、枠ごとに「入れた」「保留」「見つからなかった」の合計が、その枠の掲出件数と一致することを機械で検算しています。 合わなければ台帳を作り直せない仕組みにしてあります。
数え終えていない範囲
- 掲載順が3段目以降の枠は、枠を単位に枠名と掲載件数を記録しているだけで、1社ずつは追っていません。
- 支援店・サポートショップの枠は、下に書くとおり対象から外しています。
上の56枠で1巡が閉じたことは、「クラブのスポンサーを全部数え終えた」ことを意味しません。 閉じたのは、固定した56枠を1社ずつ当たる作業です。上の2つは依然として範囲の外にあります。
対象から外している枠と、その実数
クラブの一覧ページには、スポンサーの枠とは別に、支援店・サポートショップにあたる枠を置いているクラブがあります。この枠は数えていません。
| クラブ | 枠名 | 掲載件数 |
|---|---|---|
| ジェフユナイテッド千葉 | サポートショップ(プラチナ/ゴールド/シルバー/ブロンズ) | 38(プラチナ4・ゴールド5・シルバー10・ブロンズ19) |
| 京都サンガF.C. | サポートカンパニー(S/A/B/C) | 281(S32・A32・B35・C182) |
いずれも基準日は2026年8月20日です。数え方は、各クラブの一覧ページの該当区間に載っている件数です(千葉は各コースの見出しから次の見出しまで、京都は各段の見出しからお問い合わせ先まで)。同じ資料を見れば数え直せます。
このほかに2件あります。水戸ホーリーホックの「サポートカンパニー」は2025シーズンをもって制度が終了しており(クラブ公式の告知・2025年12月1日)、数える対象がありません。件数が0なのではなく、枠そのものが今シーズンは存在しません。 その後継にあたる後援会の法人会員は、クラブのパートナー一覧に枠として現れないため、枠として数えていません。
外している理由は、枠の性質です。 次の3つをすべて満たす枠だけを対象から外しています。
- クラブ自身が、スポンサーの枠とは別の枠として明示している
- 枠の名称が支援・後援の類である
- 階層が支援の口数・金額コースで切られている
金額の大小では切っていません。 金額で切ると、次に金額の分からない枠が出たときに基準が効かなくなるためです。3つのうち1つでも満たさない枠は、数える側に入れています。
対象から外した枠は、枠ごとに1行の記録として保持しています。掲載件数が0でも、制度が終了しても、その行は消しません。 枠が復活したときに数え直すだけで済むようにするためで、判定そのものをやり直さないためです。
この除外が読者に及ぼすこと
上の除外があるため、当方のデータから「このクラブは何社と契約しているか」を数えると、クラブ公式の一覧に載っている社数より少なくなります。 「A社よりB社のほうがスポンサーが多い」といった件数を根拠にした比較を当方のデータだけで行うと、実態を誤ります。件数を扱うときは、この節を併せてお読みください。
クラブの決算データの扱い
クラブの経営数値は、リーグが毎年公表している決算一覧と経営情報開示資料から取っています。記事に出る金額・比率・順位は、次の原則の上に置いています。
同じ資料を持っている人なら、同じ数字を作れます。 記事に出る数字は、公表資料に載っている値そのものか、その値を足し引きして出したものだけです。順位・比率・構成比・前年比は編集部が計算していますが、計算に使った項目と母数を本文に書いているので、読者が自分で数え直せます。数え直した結果が違ったなら、それは記事の誤りです。
事実と推計を混ぜません。 資料に載っていない値、公表されていない内訳、資料からは判別できない項目の境界は、事実としては「分からない」と書きます。欠けている箇所は、埋めるのではなく、欠けていること自体を書きます。数字が入っていない欄は、推定を諦めた結果です。
そのうえで、公表値だけでは答えられない問いを扱うために、記事には推計を置くことがあります。推計は「見立て」の節にだけ置きます。 数字を推計する場合は、方法と、使った入力と、幅を必ず併記し、「Pitchonomics 推計」と名乗って、リーグやクラブが公表した値と取り違えられない形で書きます。入力に使う値はすべて出典付きです。後から公表値が出た場合は、当たっていたかどうかを追記します。外れていても、元の推計は消しません。
データベースが提供するのは公表された事実だけです。 契約の金額を推定した値をデータとして提供することはありません。記事の推計と、データベースの記録は、別のものとして扱っています。
海外のクラブと比べるときは、定義がどこまで一致しているかを先に示します。 会計基準・開示範囲・集計方法が違うため、金額を並べただけでは同じものを比べたことになりません。比較に使う外部のデータは、指標ごとに「同じ定義か、近いか、比べられないか」を判定したうえで用い、判定と、判定の理由になった差分を記事に書きます。比べられないと判定した項目は比べません。
決算一覧は各クラブの決算を並べた資料であり、20クラブを同じ条件で比較するための表ではありません。対象クラブの範囲、前年と比べてよい行、在籍カテゴリーが変わった行の読み方、内訳の合計が合わないときの丸めの扱いは、いずれも資料の外で決める必要があります。編集部が何をどう決めたかは、各記事の「この記事の物差し」の節に書いています。
出典の保全
出典として参照したWebページは、原則としてインターネットアーカイブへの保存を依頼し、アーカイブURLをあわせて記録しています。公式ページは数ヶ月で削除・移転されることが実際にあり、後から検証できる状態を保つためです。
訂正の方針
記録や記事に誤りが見つかった場合、値を黙って書き換えるのではなく、訂正の履歴を残した上で修正します。契約そのものの変化(更新・解約など)と、当方の記録の誤りの訂正は、履歴上も区別して管理しています。
訂正が必要になった場合、記事本文の冒頭に訂正ブロックを表示します(訂正日・訂正内容)。誤りがデータベース側の事実に起因する場合は、その旨を併記します。訂正にあたって元の記述は削除しません。何をどう間違えたかが読める形で残します。これはデータベース側で記録を上書きせず訂正の履歴を残す原則と同じ考え方によるものです。データベースの記録が訂正された場合、その訂正は既に公開した記事の脚注にも反映されます。訂正は読者に伝わるべきものだからです。反映が生じた記事は運用側で検知し、訂正ブロックの追加要否を判断します。
お問い合わせ
データや記事の誤りにお気づきの場合は、運営者情報に記載の窓口までご連絡ください。一次情報のご提示をいただける場合、確認のうえ記録に反映します。
制定日: 2026年8月3日 最終改訂日: 2026年8月24日