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クラブ2026-08-12

アビスパ福岡の決算 — 売上高・スポンサー収入・営業利益(2025年度)

Pitchonomics 編集部

アビスパ福岡の2024年度の資本(純資産)の部の合計は▲2億7200万円だった。2026-27シーズンのJ1に所属する20クラブで、この年にここがマイナスだったのは福岡だけである。2025年度は7600万円になり、プラスに戻っている。同じ年、資本金と資本剰余金等がそれぞれ9700万円増えた。

この定点記事は、開示された事実と編集部の見立てを分けて書く。

経営の全体像

アビスパ福岡の決算(単位: 百万円。▲は負の値)
項目2024年度2024-02-01〜2025-01-31・12か月2025年度2025-02-01〜2026-01-31・12か月
収入
売上高3,0533,740
スポンサー収入1,0251,543
入場料収入669647
物販収入273295
Jリーグ配分金374301
移籍補償金等収入177395
アカデミー関連収入171170
女子チーム関連収入00
その他収入364389
費用
売上原価2,5712,874
トップチーム人件費1,4241,533
トップチーム運営経費297223
試合関連経費(ホームゲーム開催費)140160
物販関連費192211
移籍関連費用204279
アカデミー関連経費210225
女子チーム関連経費00
その他売上原価104243
利益
販売費および一般管理費466514
営業利益(▲損失)16352
経常利益(▲損失)14346
当期純利益(▲損失)10154

前年からの変化

2024年度から2025年度にかけて、売上高が22.5%増え、同じ期間にスポンサー収入が50.5%増え、入場料収入が3.3%減り、トップチーム人件費が7.7%増え、営業利益が3億3600万円改善した。

前年からの変化(金額は百万円。収入・費用は率、利益は差分。▲は負の値)
指標2024年度2025年度変化
売上高3,0533,740+22.5%
スポンサー収入1,0251,543+50.5%
入場料収入669647▲3.3%
トップチーム人件費1,4241,533+7.7%
営業利益(▲損失)16352+336

20クラブの中での位置

アビスパ福岡の売上高は20クラブ中17番目。

指標ごとの位置(金額は百万円。▲は負の値)
指標アビスパ福岡20クラブの中で
売上高3,74020クラブ中17番目
スポンサー収入1,54320クラブ中16番目
入場料収入64720クラブ中17番目
トップチーム人件費1,53320クラブ中16番目
営業利益(▲損失)35220クラブ中4番目
20クラブの売上高とアビスパ福岡の位置20クラブの売上高を降順に並べた横棒グラフ。軸は0から200億円まで。アビスパ福岡は20クラブ中17番目の位置にある。050100150200浦和レッズ川崎フロンターレガンバ大阪ヴィッセル神戸サンフレッチェ広島鹿島アントラーズ横浜F・マリノスFC東京FC町田ゼルビア名古屋グランパスセレッソ大阪清水エスパルス柏レイソル東京ヴェルディ京都サンガF.C.ジェフユナイテッド千葉アビスパ福岡V・ファーレン長崎ファジアーノ岡山(5か月)水戸ホーリーホック
20クラブの売上高とアビスパ福岡の位置(単位: 億円。軸は0から200億円まで)。 濃い1本がアビスパ福岡である。同じ数字は上の表にある。
売上高に占める内訳の構成比(%)
項目アビスパ福岡20クラブ合計
スポンサー収入41.3%42.2%
入場料収入17.3%18.5%
物販収入7.9%9.7%
Jリーグ配分金8.0%6.3%
その他25.5%23.3%
アビスパ福岡と20クラブ合計の売上高の構成比アビスパ福岡と20クラブ合計の、売上高に占める内訳の構成比を並べた100%積み上げ横棒グラフ。アビスパ福岡はスポンサー収入41.3%、入場料収入17.3%、物販収入7.9%、Jリーグ配分金8.0%、その他25.5%。アビスパ福岡20クラブ合計
  • スポンサー収入
  • 入場料収入
  • 物販収入
  • Jリーグ配分金
  • その他
アビスパ福岡と20クラブ合計の売上高の構成比(100%積み上げ。項目の順序は全記事で同じ)。同じ数字は上の表にある。

順位は上の指標の値を降順に並べた結果であり、優劣の評価ではない。「その他」には移籍補償金等収入・アカデミー関連収入・女子チーム関連収入・その他収入が入る。決算期間が20クラブで揃っていない年であり、期間の長さが違うクラブの比率を並べている。

このクラブについて

事実① 資本の合計が3億4800万円増えた

決算一覧は損益の下に貸借の項目も載せている。福岡の資本(純資産)の部の合計は、2024年度が▲2億7200万円、2025年度が7600万円である。増加額3億4800万円は、前年と決算期間の長さが揃う19クラブで3番目に大きい。

内訳は3つある。資本金が4億4200万円から5億3900万円へ9700万円、資本剰余金等が5億1300万円から6億1000万円へ9700万円、利益剰余金が▲12億2700万円から▲10億7300万円へ1億5400万円である。この3つの増加額を足すと3億4800万円になり、合計の増加額と一致する。資本金と資本剰余金等の増加額9700万円は、いずれも19クラブで最も大きい。これらの増減額はリーグが公表している値ではなく、開示された2年度の値を引き算したものである。

利益剰余金には「過去の損益の累積。負値なら債務超過の主因」という定義が付いている。福岡の利益剰余金は2年度ともマイナスで、売上高に占める割合▲28.7%は20クラブで最も低い。資本の合計がプラスに戻ったあとも、この項目はマイナスのままである。

事実② 損益の側では、営業利益が3億3600万円増えている

順位表に載っているのは5つの指標である。福岡は2025年度、売上高37億4000万円が17番目、スポンサー収入15億4300万円が16番目、入場料収入6億4700万円が17番目、トップチーム人件費15億3300万円が16番目、営業利益3億5200万円が4番目にある。額では下位に並ぶが、営業利益だけが上に来る。売上高に占める営業利益の割合9.4%は20クラブの2番目、経常利益の割合9.3%は1番目である。

営業利益の増加額3億3600万円は、19クラブで2番目に大きい。上に来るのは川崎フロンターレである。増収は6億8700万円で(30億5300万円 → 37億4000万円、22.5%増)、収入8項目のうち増えたのはスポンサー収入が5億1800万円、移籍補償金等収入が2億1800万円、その他収入が2500万円、物販収入が2200万円。減ったのはJリーグ配分金が7300万円、入場料収入が2200万円、アカデミー関連収入が100万円で、女子チーム関連収入は2年度とも0円である。スポンサー収入の50.5%増は、19クラブで2番目に高い伸び率である。上に来るのは東京ヴェルディだった。

費用の側では、売上原価が25億7100万円から28億7400万円へ3億300万円増えた。トップチーム人件費が1億900万円、その他売上原価が1億3900万円、移籍関連費用が7500万円の増加で、トップチーム運営経費だけが7400万円減っている。販売費および一般管理費は4億6600万円から5億1400万円へ4800万円で、売上高に占める割合13.7%は20クラブの19番目である。当期純利益は1000万円から1億5400万円になった。特別損失1億6200万円は、売上高に占める割合4.3%が20クラブで最も高い。

福岡は2024年度・2025年度ともJ1に所属し、決算期間はどちらも12か月(2月1日〜翌1月31日)である。

事実③ 決算一覧で、クラブ名を名指しした注記が1本だけある

2025年度の資料の脚注に、次の1文がある。「福岡のトップチーム人件費の一部が、移籍関連費用に含まれていたため修正」。

20クラブの決算一覧に付いている注記のうち、特定のクラブ名を挙げているのはこれだけである。他の注記——アカデミー関連の移管、物販の代理店委託、端数処理——は、いずれも「クラブによっては」という形で全体に向けて書かれている。2024年度の資料には、この注記に相当するものが無い。

そして、この注記は修正の前後の値を示していない。いくらが人件費から移籍関連費用へ移ったのか、あるいはその逆なのかは書かれていない。福岡の2025年度のトップチーム人件費は15億3300万円、移籍関連費用は2億7900万円である。

編集部の見立て — 決算一覧が最も多くを語ったクラブで、なお読めないことが2つある

ここから先は編集部の見立てである。仮説として読んでほしい。

2年度の決算一覧の中で、福岡は2つの点で他の19クラブと違う扱いを受けている。資本の部の合計がマイナスだった唯一のクラブであり、注記でクラブ名を名指しされた唯一のクラブである。表と注記の両方に固有の記載を持つクラブは、他に無い。

ところが、そのどちらについても、表から読めることはそこで止まる。資本が3億4800万円増えたことは分かるが、内訳の3行のうち資本金と資本剰余金等の増加9700万円ずつが何であったのかは書かれていない。利益剰余金の増加1億5400万円は当期純利益と同額なので損益から来たと読めるが、残る1億9400万円——増加額の半分以上——は損益の外から来ている。注記についても、修正があったことは分かるが、額が分からない。

したがって編集部の見立ては、福岡の2年度は、決算一覧が最も多く語ったクラブでありながら、語ったことの内側が最も読めないクラブである、というものである。固有の記載が増えるほど読者の問いは具体的になるが、資料はその1段先を持っていない。

提言 — 修正した項目は、修正前後の値を並べてほしい

提言は、福岡にではなくリーグの開示の形に向ける。注記で「修正」と書いた項目については、修正前の値と修正後の値を並べて示してほしい。

新しい数字を集める必要はない。修正した側は両方の値を持っている。いまの形では、読者は3つのことが分からない。どの額が動いたのか、その修正が2025年度の値にだけ効いているのか、そして2024年度の値が修正前なのか修正後なのかである。2024年度の資料にこの注記が無い以上、3つ目は特に確かめようがない。

この項目は20クラブの表の主要な列である。1クラブの1つの数字の話ではなく、20クラブを人件費で並べたときの並び全体に効く。

この提言への反論

反論はある。修正は開示の正確さを保つための手続きであり、経緯まで載せると表が注記で埋まる、という反論である。実際、修正したこと自体を書いている点で、いまの注記は書かないより誠実である。

だからこの提言は、経緯を書けというものではない。動いた額を1つ添えるだけでよい。

自分の表にある不利な事実も置いておく。この記事が事実②で使った福岡のトップチーム人件費15億3300万円も、その修正を経た値である。修正の額が分からない以上、この記事自身、福岡の人件費が他の19クラブと同じ線引きで並んでいるかどうかを確かめられていない。提言はそこから出ている。

比べないこと

「資本(純資産)の部」に何が入るかは、定義が揃っているかを確かめられないので、リーグの外の数字とは比べていない。リーグは各項目の定義を、表の項目名と注記の形でしか示していない。資本の部がマイナスであることの扱いは、リーグのライセンス制度と直接つながる論点で、この記事の見立てに最も効く材料でもある。本媒体の方法はメソドロジーにまとめてある。

資本金と資本剰余金等がそれぞれ9700万円増えた理由も、この記事は測っていない。決算一覧に載っているのは期末の残高だけである。

スポンサー収入の伸び率で福岡を上回ったのは東京ヴェルディであり、営業利益の増加額で上回ったのは川崎フロンターレである。同じ物差しで並べた2クラブの記録はそれぞれの記事にあり、20クラブの一覧は親記事にある。

この記事の物差し(要約)

対象はアビスパ福岡の2024年度(決算期間 2024-02-01〜2025-01-31・12か月)・2025年度(決算期間 2025-02-01〜2026-01-31・12か月)。

指標の値は、公益社団法人日本プロサッカーリーグが公表した決算一覧から取っている[1][2]。

次の指標は、上の表の数字を素直に読むと誤る。定義を要約せずそのまま置く。

物販収入
グッズ等の物販収入。代理店に委託販売しているクラブがあり、取扱高総額でのクラブ間比較はできない(資料注記3)
物販関連費
物販に係る原価・費用(注記3は収入側と同じ)
アカデミー関連収入
育成・普及事業の収入。別法人(NPO等)へ移管している場合は含まれない(資料注記2)
アカデミー関連経費
育成・普及事業の費用(注記2は収入側と同じ)
トップチーム人件費
トップチームの選手・監督・コーチ等の人件費。2024年度より移籍関連費用を内数から外出ししており、それ以前の年度と単純比較できない
移籍関連費用
選手獲得に伴う移籍金等。2024年度より人件費から外出し

各項目の定義は、Jリーグの開示資料(クラブ決算一覧・クラブ経営情報開示資料)の項目名と注記に対応させて Pitchonomics が整理したものである。リーグが定義として公表した文そのものではない。

各指標の定義と、20クラブを同じ物差しで並べるにあたっての条件は親記事にまとめてある。18クラブが増収し、営業損失クラブは4から5に増えた — 2026-27シーズンのJ1に所属する20クラブの決算を2年分並べた

出典・脚注
  1. [1]公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2025年度 クラブ決算一覧」 · 2026-07-24 · 2026-08-04確認 リンク アーカイブ
  2. [2]公益社団法人日本プロサッカーリーグ「2024年度 クラブ決算一覧」 · 2025-07-29 · 2026-08-06確認 リンク アーカイブ