FC東京の決算 — 売上高・スポンサー収入・営業利益(2025年度)
FC東京の2025年度の負債の部の合計は10億6100万円で、売上高72億1000万円の14.7%にあたる。この割合は、2026-27シーズンのJ1に所属する20クラブで最も低い。同じ年の資本(純資産)の部の合計は23億6500万円で、売上高の32.8%になる。こちらは20クラブで最も高い。
この定点記事は、開示された事実と編集部の見立てを分けて書く。
経営の全体像
| 項目 | 2024年度2024-02-01〜2025-01-31・12か月 | 2025年度2025-02-01〜2026-01-31・12か月 |
|---|---|---|
| 収入 | ||
| 売上高 | 6,989 | 7,210 |
| スポンサー収入 | 2,989 | 3,223 |
| 入場料収入 | 1,450 | 1,439 |
| 物販収入 | 768 | 715 |
| Jリーグ配分金 | 316 | 366 |
| 移籍補償金等収入 | 629 | 519 |
| アカデミー関連収入 | 467 | 504 |
| 女子チーム関連収入 | 0 | 0 |
| その他収入 | 370 | 444 |
| 費用 | ||
| 売上原価 | 4,910 | 5,031 |
| トップチーム人件費 | 2,334 | 2,497 |
| トップチーム運営経費 | 522 | 525 |
| 試合関連経費(ホームゲーム開催費) | 432 | 403 |
| 物販関連費 | 595 | 566 |
| 移籍関連費用 | 377 | 397 |
| アカデミー関連経費 | 642 | 635 |
| 女子チーム関連経費 | 0 | 0 |
| その他売上原価 | 8 | 8 |
| 利益 | ||
| 販売費および一般管理費 | 1,983 | 2,096 |
| 営業利益(▲損失) | 96 | 83 |
| 経常利益(▲損失) | 91 | 181 |
| 当期純利益(▲損失) | 72 | 82 |
前年からの変化
2024年度から2025年度にかけて、売上高が3.2%増え、同じ期間にスポンサー収入が7.8%増え、入場料収入が0.8%減り、トップチーム人件費が7.0%増え、営業利益が1300万円減った。
| 指標 | 2024年度 | 2025年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,989 | 7,210 | +3.2% |
| スポンサー収入 | 2,989 | 3,223 | +7.8% |
| 入場料収入 | 1,450 | 1,439 | ▲0.8% |
| トップチーム人件費 | 2,334 | 2,497 | +7.0% |
| 営業利益(▲損失) | 96 | 83 | ▲13 |
20クラブの中での位置
FC東京の売上高は20クラブ中8番目。
| 指標 | FC東京 | 20クラブの中で |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,210 | 20クラブ中8番目 |
| スポンサー収入 | 3,223 | 20クラブ中5番目 |
| 入場料収入 | 1,439 | 20クラブ中8番目 |
| トップチーム人件費 | 2,497 | 20クラブ中9番目 |
| 営業利益(▲損失) | 83 | 20クラブ中12番目 |
| 項目 | FC東京 | 20クラブ合計 |
|---|---|---|
| スポンサー収入 | 44.7% | 42.2% |
| 入場料収入 | 20.0% | 18.5% |
| 物販収入 | 9.9% | 9.7% |
| Jリーグ配分金 | 5.1% | 6.3% |
| その他 | 20.3% | 23.3% |
- スポンサー収入
- 入場料収入
- 物販収入
- Jリーグ配分金
- その他
順位は上の指標の値を降順に並べた結果であり、優劣の評価ではない。「その他」には移籍補償金等収入・アカデミー関連収入・女子チーム関連収入・その他収入が入る。決算期間が20クラブで揃っていない年であり、期間の長さが違うクラブの比率を並べている。
このクラブについて
事実① 長期の負債が、ほとんど無い
決算一覧は損益の下に貸借の項目も載せている。資産の部・負債の部・資本(純資産)の部の合計と、その内訳である。
FC東京の2025年度は、負債の部の合計が10億6100万円、資本の部の合計が23億6500万円、資産の部の合計が34億2600万円である。売上高に対する割合で並べると、負債14.7%が20クラブで最も低く、資本32.8%が最も高い。前年度も資本22億8200万円が20クラブで最も大きく、負債13億1700万円は下から6番目だった。2年度を通じて、貸借の軽い側にいるクラブである。なお2025年度の資本の額そのものは、川崎フロンターレの24億3300万円に次ぐ2番目である。
内訳を見ると、その負債は長期のものではない。固定負債が2年度とも5000万円を下回っている(2024年度4500万円、2025年度4400万円)。売上高に占める割合は0.6%である。資本の側では、資本金17億6200万円が20クラブの3番目、資本剰余金等5億7500万円が5番目にあたる。そして利益剰余金は▲5500万円から2800万円になり、マイナスを抜けた。この項目には「過去の損益の累積」という定義が付いている。
事実② 損益の側では、ほとんど動いていない
順位表に載っているのは5つの指標である。FC東京は2025年度、売上高72億1000万円が8番目、スポンサー収入32億2300万円が5番目、入場料収入14億3900万円が8番目、トップチーム人件費24億9700万円が9番目、営業利益8300万円が12番目にある。前年度は売上高8番目・スポンサー収入4番目・営業利益7番目で、額も順位もほとんど動いていない。
売上高の増加額2億2100万円は、前年と決算期間の長さが揃う19クラブで17番目である。収入8項目のうち増えたのはスポンサー収入が2億3400万円、その他収入が7400万円、Jリーグ配分金が5000万円、アカデミー関連収入が3700万円。減ったのは移籍補償金等収入が1億1000万円、物販収入が5300万円、入場料収入が1100万円で、女子チーム関連収入は2年度とも0円である。これらの増減額はリーグが公表している値ではなく、開示された2年度の値を引き算したものである。
費用の側でも、売上原価が49億1000万円から50億3100万円へ1億2100万円、販売費および一般管理費が19億8300万円から20億9600万円へ1億1300万円の増加にとどまる。営業利益は9600万円から8300万円になった。
FC東京は2024年度・2025年度ともJ1に所属し、決算期間はどちらも12か月(2月1日〜翌1月31日)である。
事実③ 順位表の外にも、20クラブの1番目が2つある
リーグが開示している収入8項目と売上原価の内訳の中に、FC東京が2年度とも20クラブで最も大きい行が2つある。アカデミー関連収入と、アカデミー関連経費である。
収入は4億6700万円から5億400万円、経費は6億4200万円から6億3500万円で、いずれも額としては20クラブの1番目にあたる。売上高に占める割合では、収入7.0%が清水エスパルスの7.6%に次ぐ2番目である。経費が収入を上回る幅は、2024年度が1億7500万円、2025年度が1億3100万円で、これは公表値ではなく、開示された2つの値の引き算である。アカデミーは、リーグが収入と費用を別の行で開示している4事業(アカデミー・物販・女子チーム・移籍)の1つである。
編集部の見立て — 長期の負債をほとんど持たずに、この規模を回している
ここから先は編集部の見立てである。仮説として読んでほしい。
決算一覧は、上半分に損益、下半分に貸借を置いている。順位表が採っている5指標は、いずれも上半分の項目である。FC東京はその5つで8番目から12番目のあたりにいて、2年度でほとんど動かない。上半分だけを見ると、20クラブのほぼ中央にいるクラブである。
下半分に移ると、様子が変わる。負債の割合が20クラブで最も低く、資本の割合が最も高い。そのうえ、その負債の中に長期のものがほとんど入っていない。固定負債は2年度とも5000万円を下回り、売上高の0.6%にとどまる。同じ2年度に利益剰余金がマイナスからプラスへ転じ、過去の損益の累積も水面の上に出た。
したがって編集部の見立ては、FC東京は長期の負債をほとんど持たずに、この規模を回しているクラブである、というものである。売上高72億1000万円は20クラブの8番目にあたる。その規模を、長期の負債をほとんど持たないまま2年度続けている。そして損益の5指標がほとんど動かないことは、この形が1年で作られたものではないことを示している。
測っていないこと
貸借の項目が、なぜその大きさになっているのかを、この記事は測っていない。決算一覧は資産・負債・資本の合計とわずかな内訳を載せているだけである。内訳のうち固定資産等には、繰延資産を含めて表示していることが注記されている。だが、資産の部・負債の部・資本(純資産)の部の合計には、その性質に触れた注記が無い。したがって、この記事は長期の負債の少なさを良い経営とも悪い経営とも読んでいない。
長期の負債をほとんど持たない形が、選んだ結果なのか、選べなかった結果なのかも、決算一覧からは分けられない。20クラブの中でどこにいるかは資料から言えるが、そこに至った経緯は言えない。
アカデミー関連の2行についても、事業の中身は測っていない。何人を対象にした事業なのかは開示されておらず、決算一覧に載っているのは金額だけである。
比べないこと
「負債の部」「資本の部」に何が入るかは、定義が揃っているかを確かめられないので、リーグの外の数字とは比べていない。リーグは各項目の定義を、表の項目名と注記の形でしか示していない。クラブの資本構成は、リーグのライセンス制度と直接つながる論点で、この記事の見立てに最も効く材料でもある。本媒体の方法はメソドロジーにまとめてある。
資本の部の合計の額が2025年度に最も大きいのは川崎フロンターレであり、アカデミー関連収入が売上高に占める割合で最も高いのは清水エスパルスである。同じ物差しで並べた2クラブの記録はそれぞれの記事にあり、20クラブの一覧は親記事にある。
この記事の物差し(要約)
対象はFC東京の2024年度(決算期間 2024-02-01〜2025-01-31・12か月)・2025年度(決算期間 2025-02-01〜2026-01-31・12か月)。
指標の値は、公益社団法人日本プロサッカーリーグが公表した決算一覧から取っている[1][2]。
次の指標は、上の表の数字を素直に読むと誤る。定義を要約せずそのまま置く。
- 物販収入
- グッズ等の物販収入。代理店に委託販売しているクラブがあり、取扱高総額でのクラブ間比較はできない(資料注記3)
- 物販関連費
- 物販に係る原価・費用(注記3は収入側と同じ)
- アカデミー関連収入
- 育成・普及事業の収入。別法人(NPO等)へ移管している場合は含まれない(資料注記2)
- アカデミー関連経費
- 育成・普及事業の費用(注記2は収入側と同じ)
- トップチーム人件費
- トップチームの選手・監督・コーチ等の人件費。2024年度より移籍関連費用を内数から外出ししており、それ以前の年度と単純比較できない
- 移籍関連費用
- 選手獲得に伴う移籍金等。2024年度より人件費から外出し
各項目の定義は、Jリーグの開示資料(クラブ決算一覧・クラブ経営情報開示資料)の項目名と注記に対応させて Pitchonomics が整理したものである。リーグが定義として公表した文そのものではない。
各指標の定義と、20クラブを同じ物差しで並べるにあたっての条件は親記事にまとめてある。18クラブが増収し、営業損失クラブは4から5に増えた — 2026-27シーズンのJ1に所属する20クラブの決算を2年分並べた